書物にとって「読みやすさ」とは何でしょう。

この問題にはこれまでも多くの関心が寄せられてきました。しかし満足のいく結果は得られてきていません。ひとつには、そこに絡む要素があまりに複雑であることと、もうひとつは読み手の感性や慣れの話として語られ、それ以上の観点や研究の道筋がないとみなされてしまいがちだったからです。

もちろん、個人個人の感覚を無視してこの問題を語ることはできません。けれども、そのことはいったん保留して、いま私たちが語り得る要素に目を向けることからスタートしようとするのが、本プロジェクトです。

ここで目指したいことは、一義的で絶対的な「読みやすさ」を求めることではありません。なぜなら、そんなものは存在し得ないですし、それを正義に何かを批判したいわけでもないからです。

いま私たちはこの問題について、何がわかっているのか、またわかっていないのか。従来の書籍/雑誌というフォーマットを超えて、電子書籍など、新たな媒体が立ち上がってきたいまだからこそ、このことをしっかりと議論し、私たちの誰にでも開かれた「読みやすさ」を語る言葉を見つけることに、大きな意味があるのではないでしょうか。

このプロジェクトで示すのは、そのためのほんのきっかけに過ぎません。このことを一緒に考えてくれる参加者が出現することを期待しています。